
『ハイスコアガール』『ミスミソウ』などで知られる漫画家・押切蓮介さんが、
実写映画『サユリ』を巡る葛藤を明かしました。
原作者でありながら自ら出資し製作委員会にも参加。
しかし「ほぼ反映されなかった」と語る経験とは――。
理想と現実の狭間で揺れた胸中を整理します。
原作者としての“物足りなさ”から出資へ
押切蓮介さんはこれまで、数多くの作品がアニメ化・実写化されてきました。
その多くについては「うれしい」「だいたいはうまくいっている」と前向きに語っています。
しかし、実写映画『サユリ』では異例の行動に出ました。
自ら製作費の一部を出資し、製作委員会に参加するという選択です。
「原作者って実は一番仕事をしていない」と感じていた押切さん。
映像作品づくりにもっと貢献したいという思いから、会議に参加し発言権を得ようとしました。
原作者であり出資者でもある立場なら、作品の方向性に深く関われる――。
そう期待していたといいます。
「悪霊をぶちのめす」が変化した物語
押切さんが描いた原作は「身勝手な悪霊をぶちのめす」エンターテインメント。しかし映画版では、幼児虐待などの背景が強調され、物語の焦点が変わったと感じたそうです。
「ネグレクトや児童虐待をテーマに描いたわけではない」と語り、
原作者としての思いが十分に反映されなかったと振り返ります。
公開後には仲間内で“悪口大会”になったことも明かしました。
「なんで止めなかったの?」と問い詰められ、自身も悔しさを抱えていたといいます。
私はこの映画はまだ見てないんですが、ホラーなのかアクションなのかどっち?
と思わせられる雰囲気だなと感じます。
ヒットで揺らぐ感情 「面白さってなんだろう」
ところが、映画は興行的に成功。
さらに「原作より良かった」という声も少なくありませんでした。
この反応が、押切さんに新たな問いを投げかけます。「面白さってなんだろう」と。
当初は悔しさもあったものの、ヒットを受けて「これもこれでありか」と受け止められるようになったと語ります。
監督への感謝すら芽生えたという変化は、クリエイターとしての成熟を感じさせます。
その経験をきっかけに、自ら監督を務めるアニメ制作や自主映画にも挑戦。漫画家という枠にとどまらない活動を広げています。
原作者でありながら出資まで行い、それでも思い通りにはならなかった『サユリ』の実写化。
その経験は押切蓮介さんに葛藤と学びをもたらしました。
「面白さとは何か」という問いを抱えながら、新たな表現へ挑戦を続ける姿勢こそが、
押切さんの真骨頂なのかもしれません。



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