
ミラノ・コルティナ五輪フィギュア男子フリーで、
鍵山優真選手と佐藤駿選手が投入を模索している「4回転フリップ」が注目を集めています。
成功すれば高得点が期待できる一方、リスクも大きいジャンプ。
この記事では、4回転フリップとは何か、なぜ重要なのかを分かりやすくまとめます。
4回転フリップとは?ルッツとの違い
| 項目 | 4回転フリップ (4F) | 4回転ルッツ (4Lz) |
| 踏み切り足 | 左足 | 左足 |
| エッジの向き | インエッジ(内側に倒す) | アウトエッジ(外側に倒す) |
| トウをつく足 | 右足 | 右足 |
| 基礎点 | 11.00点 | 11.50点 |
| 難易度 | 超高難度 | 最高難度(アクセルを除く) |
4回転フリップとは、片足で滑走しながら左足のインエッジ(内側の刃)を使い、右足のトウ(つま先)で氷を突いて跳び上がるジャンプです。
空中で4回転(1440度)し、右足で着氷します。
似たジャンプに「4回転ルッツ」がありますが、ルッツは左足のアウトエッジ(外側の刃)で跳ぶのが特徴です。
見た目はよく似ていて、踏み切り前のエッジの使い分けを審判が厳しくチェックします。
わずかに使い方を誤ると「アテンション」や「エッジエラー」と判定され、減点につながってしまいます。
基礎点は11.00点で、4回転ルッツ(11.50点)に次ぐ高得点ジャンプです。
ここに完成度(GOE:Grade of Execution)の加点が最大+5まで入るため、クリーンに決まれば単一ジャンプだけで13点台も可能です。
一方で、踏み切りミスや転倒があるとGOEがマイナスされ、場合によっては基礎点の半分以下になることも。
つまり、「高得点か大減点か」というリスク・リターンが非常に明確な技です。
史上初成功は宇野昌磨 女子ではトルソワ
男子で4回転フリップを初めて成功させたのは2016年の宇野昌磨選手です(チームチャレンジャーシリーズ「ロンバルディア杯」)。
ISU(国際スケート連盟)公認大会での成功としては史上初で、日本男子の技術革新を象徴する瞬間でした。
女子では2019年のアレクサンドラ・トルソワ(ロシア)選手が初成功。
男子に比べ体格的・筋力的に不利といわれる女子シングルでの達成は画期的で、「女子でも4回転時代に突入した」と話題になりました。
現在ではネイサン・チェン、イリア・マリニンといった男子トップ選手もプログラムの中に組み込み、
4回転構成の中核技として世界的に常用されるようになっています。
鍵山・佐藤が“攻める”理由
鍵山優真選手は、北京五輪後に安定性と完成度を重視するスタイルへ移行してきました。
しかし今季は、ミラノ・コルティナ五輪での表彰台を狙う上で「高難度構成を再び武器にする」方針を示しています。
4回転フリップを成功させれば、技術点(TES)で海外勢に食らいつくことができます。
一方の佐藤駿選手は、もともとトウ系ジャンプ(ルッツとフリップ)に強みを持つタイプ。
ケガ明けの今季は慎重な構成でしたが、コンディションが戻りつつある中でフリップの再挑戦を視野に入れていると言われています。
4回転フリップの成功一つで、技術点が3〜4点変わることもあり、最終順位に直結する大きな要素。
SPでリードを許した場合でも、フリーで一発逆転が狙えるジャンプです。
海外勢ではマリニンが「4A(4回転アクセル)」を含む圧倒的難度で勝負してくるため
攻めた構成で得点源を増やすのが日本勢の勝機といえるでしょう。
4回転フリップは、「踏み切りの正確さ・回転の速さ・空中姿勢」のすべてが高レベルで求められる超高難度ジャンプです。
成功すれば一気に技術点を押し上げますが、失敗すればダメージも大きい——まさに“諸刃の剣”。
鍵山優真選手と佐藤駿選手がどのタイミングでこのジャンプを投入するかは、五輪男子シングルの行方を左右する見どころの一つです。
今後の試合でどんな進化を見せてくれるのか注目が集まります。



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